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無礼院慈安宮

もはや備忘録

Restored Greco SE-450 "Spacey Sound"

実家からサルベージしてから実に5年、
このエントリーにおいて紹介された
グレコSEの再生がようやく完了したので記録する。





俺はプロのリペアマンではない。
ジョイント部分の乱暴な工作跡などはそのままだ。
戒めの記録でもある。
二度と大切なギターを台無しにしないように。




最も状態の酷かった指板は素地調整、成形。






若気の至りスキャロップも
どうにかこうにか自然に見えるように。




ナットは人工象牙タスクを使った。
あらかじめ弦溝ガイドが彫られ
7.25Rに合わせたものがラインナップにある。




トラスロッドナット。
ブレット(弾丸)トラスロッドと呼ばれる所以。
ロッドはほとんど締められていない。
締めた記憶もない。




塗装を悩んだ結果、
水性ウレタンニスを刷毛塗りすることにした。
ウレタン塗膜さえ得られれば
どうせ抜けてしまう溶媒など
溶剤だろうが水だろうが関係ない。
それにこれなら自室で出来る。
仕上がりはそれなりにはなってしまうが。




数度塗り重ねてみたところ
手ごたえを感じたので、
次の週末再度数回塗ってしばらく乾燥させる。



塗膜の厚み的にこれで良しとした。
若気の至ロップも
それなりに誤魔化せたと自分に言い聞かせる。




指板を軽く研磨したのち
フレットも軽く磨く。
そもそもがだいぶ減っているので
エクボを消そうとか
まして擦り合わせを行えるほどの余裕はない。
若ロップだって、
そもそもフレットの減りのせいで
麻呂少年が思いついてしまったわけだし。




ブリッジは結局
ネジ穴修正を施したのち
元々のモノを使うことにした。
そのため分解清掃を施した。

S.T.Cと刻印のある
当時の国産の定番だったものだ。
トーカイ、トーカイ製フェルナンデス
マツモク製アリアなど、
56㎜スタッドピッチを持つ
フェンジャパでおなじみの
”あの”ユニットが出てくるまで
これが長いこと使われた。

実は
ずっとこのユニットの弦間ピッチを
11.3㎜だと思い込んでいた。
当時のCBSストラトのダイキャストトレモロを
そのままコピーしたものだと。
ところがこいつの弦間ピッチは11㎜、
スタッドピッチはそのまま55㎜だ。
イナーシャブロック底面の「P-11」は
型式か何かだと思っていたが
ご丁寧にピッチが明記されていたわけだ。

プリCBS期のブリッジは
弦間11.3㎜(ないし11.2㎜)のプレートに
10.8㎜のサドルが載っていたそうだ。
そしてそれが
ヴィンテージトーンの重要要素なんだとか。

・・・じゃあ俺がオレンジでやったアレ
あながち間違ってねぇんじゃねぇか。

ともかく、
その後続く
国産10.8㎜のスタンダードの根拠でもあり、
このユニットの11㎜は
間を取ってこれでいいんじゃねぇか?
ということだったんじゃないだろうか。





国産規格に合わせたピックガードを買い、
グレコのソレと
そう変わっていないことに当時驚いたが、
結局「ちょっとだけズレてる」ってのは
ビスで留める上でこの上なく厄介だ。
まるっきりズレてんなら、
ただそこに新たに穴こさえりゃいい。

結局穴埋めを余儀なくされた。





アレキサンダー・プリボラの
”カワイイ”ピックアップがようやく日の目を見る。
入手できたのがホワイトカバー付きだったが、
多少焼け色のついたものに変える。

73の時よりは
多少綺麗に配線出来た気がする。
深さの足りないキャビティを気にして
当初予定していたものよりは
少し小さめのコンデンサを付けた。
フィルムの0.047mf、耐圧400v。

コンデンサである以上、
ある程度エージングは必要なものの様だ。
ハンダの熱を食らってる以上、
落ち着くまで本来のトーンにならない。
実は73も
当初期待と違うサウンドで拍子抜けした。
しかし今では深みと艶を含む
まぁ悪くないトーンだ。



ただ、
最近は、やっぱりストラトにはセラミック、
あの見慣れた煎餅みたいなやつがあってる気がする。
耐圧のそれほど大きくないセラコンこそが
サウンドの「枯れてる」感の演出に
効果的なんじゃないかと。




ピックガードを閉じ終えたとき、
なんとなくじわっと来てしまった。

ただ、
セレクターのノブが手持ちにないことに気づいて
感動の余韻は煙のように消えた。


まぁいい。
通販ですぐ届く。




俺はハイエンドギターなんか所有したことがないし
ホンモノのヴィンテージストラトだって
所有した過去がない。
なんなら新品のギターを買ったことすら
たったの数回だ。

今でこそ
CBS期のストラトも
ニア・ヴィンテージのように扱ってもらえるが
なんてことはない
俺の感覚ならただの中古ストラトだ。
プリCBSとは違う、
なにかと「雑」な造りが欠点でもあり
また可愛さでもある。


以前も書いたが、
このGreco SE450がファーストギターで
そのあとにSE(確か、だが)600、
57なんだか54なのかよくわからんSupersoundだった。
その次にフェンダージャパンのST57、ST72ときて
その後には2本のCBSと出会ってしまう。

この2本のCBSとの付き合いが最も長く
次はもうCool-Zだ。


他にもごちゃごちゃと、様々なギターが
通り過ぎたり居座ったりしてはいるが、
メインもしくはサブとして扱ってきたのは
いつの時代も
3シングルのストラトモデル、
あるいはストラトキャスターそのものだ。



気付いただろうか?

つまり2本のCBS以外、
結果的にフジゲンしか弾いていない。






俺をこの木と樹脂と金属の集合体、
ストラトとかいうオモチャに夢中にさせた、
そして本物のラージヘッドにまで
たどり着かせたフジゲンと、

今なお
俺とストラトを
どうにかつないでくれているフジゲン。



もう、
唯一、多少は得意な
ギターとやらにしがみついてるだけじゃないか
そんな風にも時たま思う。

いいじゃないか。
長い道のりの途中
自分の存在意義を見失いそうなとき
信じていたものが揺らぐとき
己が存在にリアリティ、
臨場感をもたらしてくれるなら、
唯一俺を裏切らないこいつらに
寄りかかって杖にしたっていいじゃないか。


そもそも
Grecoをもう一度弾きたいと思ったのは
Cool-Zのネックグリップが
Grecoを思い出させるからだ
今こうして握り比べると全然似ていないが
Uシェイプに近い、肩の張った感じが
たまらなくGrecoを連想させたからだ。



俺はいったい何者なのか、
それを見失いそうなとき
ヒントをくれるのは
いつだってギターだ。






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HN:
Brainflow (麻呂)
性別:
男性

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