先日、白スピットファイアのネックとブリッジを仮付けした際に違和感を感じた。どうもスタッドのネジが上半分効いてない。
見比べて見ると、
なんか明らかに穴がでけぇ。
バスウッドボディは柔らかい、というイメージがある。まぁバスウッドにだってグレードもあるだろうし、例えば部位によって密度差があったりするなら、木取りによってバラツキも出る。
アンカーレス・スタッド故に広がってしまったか、と考えたが、いや違う。それならヘッド方向にのみ広がるはず。中を覗くとネジ山も潰れてるし、これ、出品者が一度、本来のものとは違うスタッドを無理やり入れ込んだんじゃないか?
ただ、材の軟らかさゆえスタッドホールが破損することも充分有り得る。
ジャンクの方のスピットファイアボディは、衝撃によりスタッド前方が割れていた。当初補修も考えていたのでそのまま繊維に沿って引き抜いた状態がこれだ。
こういうことは衝撃によらずとも起こる。フロイドローズ等のアンカースタッドでもだ。リペアマンのブログなんかで事例を見ることもある。
リアにハムバッカーが載っていたり、このギターのように弁当箱キャビティである場合、スタッドを受け止める木部は相当薄くなり、フロイドタイプなら更にスタッド位置が前方になる。
なかなか悩ませてくれるのぅ。
スタッドホールよりいくぶん大きく穴を穿ち、硬めの材の丸棒を打ち込み接着した上で新規に穴を造る、が正解なんだろう。
ジャンクってのは、こういうもんだ。イヤなら諦めて棄てろ、ってことだな。
いや実はだ。
フラートン談義の楽器屋にふらっと寄った際に、ちょいと面白そうなものを見つけてだ。
塗装済みアルダーボディと、ローステッドメイプルネック。パーツ売りでひっそり片隅にあったんだ。
ボディ3,000円ネック2,000円だったかな?キャビティ加工もキレイだし、スタッドピッチは国産規格56mmぽいし、ネックもヘッド形状やらラディアスやら安ギターぽくはないし。
聞くと完全セルフコンポーネントらしい。メルカリやヤフオクなんかでよく売ってるボディとネックを手に入れて、パーツを揃えて個人で組んだギターをバラしたものだった。中古楽器も扱う店なので、そんな絡みで入ってきたんだろう。
気になると話すと、ラップ包装を開いてくれた。ボディはスタッフさんの話でも、杢からしてもアルダーだが、異常に軽い。いやうちの73も相当軽いが。
ボディネックセットなら4,000円で良いという。金物は?と訊くと全てあるそうだ。そりゃそうだよね組まれた状態で入荷したんだから。ネジ穴開け直しなんかの手間が省けるなら、その他のパーツもあれば有り難い、しばらく相談した結果、ペグ以外の金物全て付けても9,000円で良いですよ、ということになって、つい買っちまった。
ギター増やしたくないんじゃなかったのかよw
ピックガードはアイボリーの1プライだった。3トーンバーストのメイプルネック、さしずめ'58あたりの見た目になる感じか。セット販売ではなく別々に入手したネック/ボディなんだろうし、確かにネックエンドの加工が少し合わず隙間が空く。スケールラインはきちんと出たんだろうか?などと一抹の不安はある。
トーカイ用にと思い、買っておいたピックアップがある。
Rugir Pickups/ルジール・ピックアップス Rugir Pickups’s blog 個人でピックアップ制作をされている方で、ヤフオクやメルカリで販売されている。スタンダードラインとしていくつかのモデルがあり、それ以外にも、なんとフルオーダーでピックアップを巻いてくれる。コイルワイヤーからポールピース/マグネット、ボビンの材質まで指定できるし、音のイメージや楽曲音源から、狙いたいキャラクターを相談できる。古いピックアップ、断線した個体の巻き直しなんかもやってくれるらしい。
プリボラと違い完全手巻きだ。ボビンを手で回し、ワイヤーを一巻ずつ巻いてゆく。
ずっと気になっていたが、少し前にヤフオクで落札できた。"Arquenote"というモデルで、'54ストラト風、ということらしい。トーンキャラクターを追い求めて、というより当時のスペック/データを基に寄せていく、という感じのものだろう。
このモデルはセンターも正磁正相(Non-RWRP)で、マグネットはアルニコ5だが低着磁、いかにも手作りな感じが好印象な梱包に、手書きでシリアルと仕様、それぞれのインダクタンスとキャパシタンス計測値を記した(手巻きなので数値が製品ごとに微細に変わる)カードを入れてくれる。なんとも素敵なピックアップだ。
こいつを載せてみようか。NOSのコンデンサならいくらか手持ちにある。
本来なら、ストラト始まりの10年位って、ワックスペーパーコンデンサだったと思うんだが、数値の近いコンマ1の100ボルトあたりならイイ感じになるんじゃないか。
どうにもギター弾きってのは、満足ってことを知らん。
仕方ねぇか。
こんなものくらいしか生きることに彩りを与えてくれない、この腐った世の中の所為にしておこう。