この記事を楽曲公開記事の下にしたくて先に書いていたんだけど、
昨日の出勤までにYouTubeとSoundcloudのアップロード、
それと公開記事までで手一杯で、この記事を書ききれなかった。
この記事を読む前に
この記事をお読みいただきたい。
海王の製作途中から、この後ろに道王をつなげたい、
組曲のように一つの流れとしたいという構想があった。
そこで
海王のエンディングからリフを引き継ぐところからこの曲の制作は始まった。
なのでこの俺版道王と海王はリフを連結器として
さながら列車の様に連結することが出来る。
原曲がそうであるように、
冒頭において一瞬で空気を変える必要がある。
思案した結果、
チャーチオルガンの神聖かつ圧倒的な響きを使うことを試した。
オルガンのプラグインはいくつか持っているので
音色を得ることは容易い。何ならプリセットにあるくらい。
しかしそのままでは
それらしい周波数特性のドライでフラットなシンセでしかない。
チャーチオルガンがそれらしく響くのは、
オルガン、それもパイプ式の大きな音量を必要としながらも
音響効果をファーストプライオリティとしない設計の空間において
音が回りまくる状況下、つまりは教会や聖堂である。
Podiumに付属のリヴァーブプラグインがお気に入りで、
空間の奥行きや幅、天井の高さ、音源の位置や左右幅、
論理集音マイクの位置や角度から壁面の音の反射率なんかが設定でき
リヴァーブの返り、回り、ドライのレベルがそれぞれいじれる。
いつかプリセットを覗いたことがあるが、
一般的なものからなかにはPhone booth(電話ボックス)、
Empty stadiumだとか、
Sistine chapel(バチカン宮殿のシスティーナ礼拝堂)、
St Paul's Cathedral (ロンドンの聖パウロ大聖堂)
なんていうシミュレートもあって、
使いどころは無いけどそういう遊び心は面白いと思っていた。
今回その中から
システィーナ礼拝堂のプリセットを当ててみたらこれがドンピシャで、
マスターリヴァーブを考慮して返りを抑えたくらいで
いい感じにボヤケてくれた。
そしてそのまま、
海王でも活躍したハモンド風のオルガンにバトンを渡している。
今回ハモンドの音色には拘っていない。
ギターの隙間からピューとかリューとか鳴ってりゃいいだけの
トッピングでしかないからだが、
海王のときは相当音色の棲み分けに苦労した。
思いっきり左右に振って
ギターの片割れとしてバッキングを担当しなければならなかったし
FireballやHighway starのような
ガッツリ歪んでローの出たオルガンの上で、別のオルガンでソロを弾き、
かつそれぞれがハッキリ聞こえてほしかったからだ。
好みの音像を得るためにドローバーを少しいじっても
ほとんど和音で鳴っているものに対して1/4とか1/8の波形を足すわけで
ゲインが上がっていることもあり、複数の周波数が同時に持ち上がってしまう。
今回はギターとトッピングがぶつかって困った。
上モノの殆どに32バンドEQを刺すハメになった。
ギターが500ならオルガンは640上げればどっちもそこそこ聞こえる、
なんて言って互い違いにすると最後のホーンと当たったりした。
原曲では、バッキングをストラトのシングルコイル、
リードを当時メインのキャパリソンで録音しているはずだ。
リアではない、おそらくセンターと思われるポジションの
ローミッドがゲロンゲロン言う質感が最高なわけで
そういう「わかってる仕事」にただただ敬服する。
残念ながらそれは再現できなかった。
輪郭ハッキリ系のモダンなシングルコイルのリアで弾き、
オルガンを考慮してかなりのドンシャリにしたので予想以上に固く尖ったバッキングになってしまった。
リードギターに関しては、
お世辞にもうまく弾けているとは言えない。
当の本人も、丁寧に上手に弾こうなんて気は更々無い。
恐らく俺がそれをしてもつまらないものが出来上がるだけだ。
なかおさんが音による情景投影、
Junichiさんがリアルドキュメンタリーなら
俺の音はさしずめ心理描写だ。
StanceもUnder the skyも思想や感情から生まれた。
フレーズもところどころ自分流に変えている。
カヴァーはどこを生かし、どこに個性を出すかも楽しみのひとつだし
また醍醐味でもある。
実際弾けない箇所だってある。
この曲をSoundcloudにアップしたところ、
すぐに1人フォロワーが付き、イイネのハートを貰えた。
アップロードされたばかりの曲はトップに表示されるので
目にとまって聴いてもらえたんだろう。
アツいだけのギターも、需要が全く無いわけではないと思った。
エンディングをエクステンドするアイディアは
わりと最初からイメージにあった。
大げさに終わるついでに、Under the skyのエンディングで
弦と管で交互にサビのモチーフを提示して終わる、
あれがヒントになって、海王のサビを崩してホーンで鳴らしてみた。
海王のときと同じように、
今度はこの曲に海王のエンブレムを施したわけである。
俺は天の邪鬼というか、曲調にもよるが、
あまり「せーのバーン!」と素直に終わりたくない。
ハズシたりスカシたり余韻を残したりしたい。
いろいろ考えたが結局またオルゴールを使ってしまっている。
ただ、こんなハードな曲のエンディングにしては
あまりにもメルヘン過ぎてしまって、
考えた挙げ句、オルゴールにトリックディレイをかけるという
何ともサイコなエンディングになってしまったが、本人は気に入っている。
この俺版道王と海王は完全に対であり、この2曲は組曲である。
また見方によっては、海王はこの曲の、
本編より長い壮大なイントロダクションであるとも考えられる。
事実本人も半分はそんなつもりでいる。
つまりはこの曲の完成をもって、
海王も本当の意味での完成となる。
この曲の完成は、俺にとってとてつもなく大きな意味を持つ。