発信地 : 大井ふ頭
行程 : 大井ふ頭 → 長野
積載物品 : 青バナナ・アボカド
状態 : 積込待機
ご利益があるわけじゃないが、
小銭入れに入れてるものがある。
ホームベース型のピック。
本鼈甲(べっこう)である。
10年以上前に買ったはずだけど、いつだったかよく覚えてない。
本当は表面に金文字で
リッチー・ブラックモアのサインがプリントされてたんだけど、
小銭に揉まれて削り落とされちまった。
不覚。
以前に書いたことがあるけど、
ピックの好みは「ちっちゃくて尖ったやつ」だから
ホームベース型も嫌いじゃない。
ただベッコウは苦手だ。
ジャカジャカうるさくて弾く気にならないし
元々トレブリーでアタックの鋭いシングルコイルにはチト音が痛い。
家中のガラスが割れそうだ。
リッチーがホームベース型を気に入っていたとは聞いたことがある。
ベッコウ製を使っていたのかはよく知らない。
高級なベッコウピックにリッチーのサインがある。
それだけで買う価値があったんだろう。当時は。
結局うまく使えなくて長年小銭に揉まれている。
リッチーのピッキングフォームはパーではなくグーだ。
ピックを人差し指のどの辺に乗せて握るのかわからないが、およそ何処かに右手を固定している(支えている)とは思えない位置、ミドルPUの少し前辺りをピッキングポイントとして、肘から先全体を振って、あるいは手首をクネクネして弾いている。
あんな弾き方でどうして、
あんなスタッカートの効いたタイトでクリアなフレージングが出来るんだろう。
音からして、ピックストップで音を切っている感じは伝わってくる。
他弦のミュートはどこでしてるんだろうか。
あのヒデキみたいなソデのヒラヒラでだろうか。
髪を振り乱しても、
首を左に傾けても、
間抜けに口を開けていても、
音だけは常にタイトでクリアだ。
あとついでに言うとあの人トリルが異常に速い。
チョーキングをやたらためる。
ヴィブラートがチリメン。
リッチーのプレイってのは、聴いてすぐヤツだとわかる。
なにか固有の看板テクニックがあるとか、そういうことでではなく、
フレージングの個性と、それに由来するトーンでわかる。
突然鋭いフレーズで切り裂いてくるスリル
緩急や静と動の対比の美しさ
そういうことのカッコ良さは全部この人に教わった気がする。
音だけで麻呂だと気づいてもらえるギタリストになりたい、昔からそう思っている。
そのために他人と違うやり方を探すとか、
奇抜なことをしてみようとか
そういうことは多分
必要ないはず。