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無礼院慈安宮

もはや備忘録

アレとあれのこと


やぁ。

前回の記事で、
グレコとフェンダージャパンに関し
同じとこが作ってる、同じようなもんと書いた。


いや、
同じ会社が
どっちも本気で作ってたんだから
そら違いが判らんのも無理もなかろう、
というような意味だったんだが
さすがにチト語弊があるってもんだ。


確かの当時、
フェンダージャパンなんてのは
グレコのデカール剥がしてフェンダーに
張り替えたようなもんじゃないのか?
なんてことをまことしやかに言う人もいたし
少年だった俺が80年代後半にFJ ST-72を買った時も
(もちろん冗談、いや半分は嫌味なのかもしれないが)
「麻呂ちゃん、そのジョイントプレートのFはねぇ
 フェンダーじゃなくてフジゲンのFなんだよ?」
なんてことを楽器店の人に言われた。
笑いながら、だけどね。

憧れのフェンダーが、
コピーモデルじゃないフェンダーが
信頼できる日本製で
しかも本家よりはぐっとリーズナブルに
手に入れることができる、
と同時に、
例えば本家USA製FENDERに対して抱いていた
憧れ、畏怖、ありがたみのようなものが
なんとなく薄れてしまったと感じた人だって
いたんだろうと思うし、
長い事オールドフェンダーに触れてきた人からすれば
これは違う、これはフェンダーじゃないと
感じたかもしれない。

俺はユーザーサイドからしか当時を見ていないし
そもそもまだ小僧だった。
しかし製造、販売、あるいは小売り
それらのどこかに関わりかつ互いの事情を
ある程度理解していたなら
或いは見え方も違っていたはずだとは思う。



結論を先に言うなら、
フジゲン製のグレコとフェンダージャパンは
厳密な意味では明らかに違うもの

である。



当たり前だが
国産コピーモデルは最初からそっくりだったわけじゃない。





トーカイストラトのピックガード。
というかこれMATのだけど。
US仕様、国産仕様、
どちらと合わせてもこれだけ形状が違う。
資料が乏しかった時期には、
例えば写真から採寸したり
なんてことだってしたはずだ。
モデルガンで言えば
マルゼンのガバは寸法おかしいよね問題だ。
一応断っておくが
寸法の正確さは
たとえば造形美に関わる問題ではあるが
ギターそのものの「弾く上での良さ」を
大きく変えるものではないと思う。

しかし80年代に入る頃には
コピー精度も相当程度高まっている。


これはGreco SEと'73 CBSのジョイントプレート





見た目はそっくりだが厚みはグレコのほうがある。


なんとこの二枚





穴位置まで含め、ピッタリと重なる。

この時期にはもう、
キャビティなど内部に関する資料があったり
何なら現物から採寸したりしていたんだろうと思う。





過去に記事にした
うちのフジゲン製Greco SE。
これを見てまず思うのは
CBS期のPUキャビティが角ばっていることを
フジゲンは知っていた、ということ。

キャビティの深さも
PUとPOTは同程度の深さで収まる、
レバースイッチ部分だけ、
足りない分掘り下げればいい、
という考え方なんだろう。
実に合理的だ。
おかげでドリルで突っつく羽目になったがw





じゃフェンダージャパンはどうかってーと
これだ。
画像は90年代半ばの廉価版ではあるけれど
FJ当初からそうは変わっていない。
ここにモデルスタンプがあったり
デイティングがあったり
コード溝が再現されてたりはするが。
つまりはこれが
本家が指示してきた加工ということなのだろう。




ついでに言うなら
あれだ。省略型マイクロティルトだ。




トーカイ・シルバースターや
フェルナンデス石ロゴやリバイバルには
三本目のボルトも木ネジにアレンジされてはいるが
オリジナルを模したドーナツ型プレートが使われている。
しかしフジゲンはそれをしなかった。
イモネジのベースと、ネック側にその受けがあればいい、
パーツ点数も加工範囲も減っている。
そしてこの機構はそのまま
フェンダージャパンST-72やCST系に使われ
FJをダイナが受け継いだあとも、
さらにはFJ無き今の70'sモデルにも
受け継がれているはず。
そういうことも含めて
フジゲンが作ってたアレに
フェンダーデカールが付いただけ、という
イメージが出来上がったんだろう。
考えてみれば、コピー競争の決着が
「日本にもフェンダーの会社置いちゃう」
に落ち着くなんて、誰も予想しなかっただろうし。

ちなみに
この機構を持つSEは80年まで登場しない
というかお目にかかったことがない。
しかし82年にはもうFJが存在し
それ以降も見かけたことがない。
つまり使えなくなったんだろう。





これらから、
俺ごときが知っている情報に限って言っても
GrecoとFJは「別のもの」といえるわけであります。
というあたりで
今回は締めくくろうと思う。







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