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無礼院慈安宮

もはや備忘録

1987 Greco SPF-40 "Spitfire" #2 -Hardway-




前回のスピットファイアの他に、実は別の個体がある。

しばらく前からスピットファイアを狙っては居たが
出物がある時に決まって手持ちに余裕が無かったり
口惜しい思いをしながら数本見送ってきた。

そんな中、三千円という破格でジャンクが出た。
そんなに頻繁に見かける機種じゃない。
もうでてこない可能性だってある。
再生できなかったとしても、三千円なら諦めもつく。
そんなふうに考えて、他人が見たらゴミ同然の物体を
三千円プラス送料で無事手に入れた。





実は、黒いギターってのがあんまり好きじゃない。
嫌いというほどじゃないが、あまり触手が動かない。

CBS期のストラトキャスターには、
ブラックストラトと呼ばれる仕様がある。
70年代中頃から、
ピックガードをはじめとする樹脂パーツの色が
何故か黒色に改められた。
今では考えられないが、
残っている白パーツを使い切りながら順次切り替わったので
樹脂パーツが白黒混在している個体も珍しくない。
ブラックモアのアレとか、
逆にギルモア(のは違うけど)みたいな見た目のヤツも存在する。

すべての樹脂パーツが黒に変わって、
たまたまブラックカラーを選択して、
ついでにローズ指板の個体を指してブラックストラトと呼ぶ。
それまでは存在し得なかったわけで、珍しかったんだろう。



この個体はちょうどそんな感じだ。
別にだからといって価値はないが。

ピックアップまでカバードタイプなので
ホントにのっぺらぼうで、
いやそこまで黒くなくてもとも思うが、
構えてみるとまぁ、悪くはない。

ただ、
事前に画像で確認済みとはいえ、全身凄まじく傷だらけだ。




トレモロスタッドが前につんのめっているのも
確認済みではあったが、サーキットを開こうと
ピックガードのネジを回すと最初の一本からもう
サビで折れやがった。

恐らくは、湿度も管理されていないような環境、
例えば野外の物置のようなところに、
ケースにも入れられず、突っ込まれていたんじゃなかろうか。
スタッドの曲がりは、
投げ込むときにトレモロユニットのケツ側が
他のなにかにぶつかった、なんて考えりゃ納得がいく。






そこからもう折れる折れる。
ピックガードネジは半分以上、ネックボルトも半分折れ、
スプリングハンガーボルトも、
トレモロスタッドもそれぞれ片方折れた。

どうすんだこれ。
ドリルで大穴ほじって、頭の出た残りをどうにか抜くか、
腐りきってんならいっそドリルで丸ごともんじゃうか。




トレモロユニットは使えそう。バネやイモネジなら交換できる。
サーキットは…ポットやセレクターは変えるとして
ピックアップはエポキシで固まってるなら生きてるかも。
ピックアップも変えちゃう手もある。


ネックが困った。
前回書いた、「ボディにもネジ山がある問題」のせいで
ボディから外せない。ボルトの皿はすでに飛んでるのに。

と、ここまで解体してしばらく放置していた。




が、どうしてもどうにかしたい。弾きたい。
なんとか外れないかと、
ボディを固定してネックをこじってみた。
ネックの先の方押し下げりゃ、
バールでクギ抜くようにテコが作用するだろう、
なんていう乱暴極まりないやり方だが、しょせんジャンクだ。
赤サビの程度からして、
ネジ山部分はもう酸化した砂鉄同然、
そこまで行く過程の膨張で、
ボディ側の山も相当程度損傷してる…んじゃね?

黄金の80年代、
おまえはジャパンビンテージなんて持て囃される
フジゲン製のメイプルネックだろう!耐えろ!
ボディ側の穴は…多少広がったりしても…
多分一応きっと体制に影響は無さそうな気がしなくもない!
耐性には影響するかもしれないが。

するとパキッ!という
寿命が3ヶ月と数週程度縮まりそうな音と共に
多少のアソビが生じたので、
ギコギコと揺すっているうちに





抜けた。





スタンプは機種名にローズ指板を表すRが付く。
ここまでサビたネックボルトを初めて見た。
ネック側に残る部分は生きていそうなので
バイスプライヤーで回してみたら難なく抜けてきた。













その後ネックは清掃、
ボディに残ったネジは
バイスプライヤーでなんとか掴もうとしてみたり、
逆ネジタップかましてみたり、
よく固着したボルトをバーナーで炙るのと同じ発想で
ハンダゴテで温めて熱膨張で固着緩めてみようとしたり、


そうこうしてるうちに、前回の白いの出てきて、
堪らずポチっちゃったというわけだ。
本来欲しかった色、欲しかったメイプル指板、
欲しかった白ピックガード仕様。



ただ、
いつか組もうとバラしたままの、
トーカイMATのカスタムネックしかり、
まだ使えるものは、出来ることなら形にしたい。

そんな折に、どういうわけだか、
俺の事情を知っているかのように
スピットファイアのボディとアッセン一式が出る。




なにも黒ボディに黒ピックガードで出なくても、
他の色でも良かったのに。
そう思ってしまうほどタイムリーな出品に
苦笑しながらポチってしまった。
いずれ組むつもりで集めていて、
それぞれ別の個体のものだと書いてあった。

活かさせてもらいますよ。

少なくともギターの形でこの世に在りゃあ
弾いてもらえる確率も上がるってもんだ。
生きてるうちは俺が弾くよ。


あといくらかパーツを揃えればおそらく組めるので
多少の仕様変更も盛り込むかもしれないが
そのうちここに書くと思う。



タイムマシンがあるなら
あの頃の俺に持たせてやりたい気もするが
どうせ例のSEみたいな仕打ちをするやもしれんし
今までどうにか生きてきたご褒美として
俺が楽しませてもらおう。


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